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こころの再生百人衆

芸能・文化分野の方々

吉永 みち子さん

ノンフィクション作家


埼玉県生まれ。競馬専門紙「勝馬」の記者を経て「日刊ゲンダイ」の記者に。吉永正人騎手と結婚し、「気がつけば騎手の女房」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。執筆活動の傍ら、地方分権改革推進会議、郵政行政審議会などの委員やテレビコメンテータ-としても活躍している。

吉永 みち子さんからのメッセージ

子供は大人の世界を写す鏡

再生とは、生き返ることです。
生き返るということは、一度壊れてしまったということになります。
悲しい出来事が起きるたびに、テレビの番組では、「少年たちの心の闇に迫る」「なぜ命を大切にしないのか」「なぜすぐキレルのか」と大人たちは憂い顔で検証します。
その場に、私もいます。
そして、その度に、もし私が今を生きる子供だったらどんな思いで、子供たちを分析する大人たちの言葉を聞くのだろうと考えてしまいます。

私が子供だったら、おそらく「よく言うよ」と怒るか、「何もわかってくれていない」とますます悲しくなるか、血の出るような思いで「こんな子供に誰がしたんだ」と叫びたくなるか。
そんな子供の私に、大人の私は思わずうつむいてしまいそうです。

命を大切にしなさいと言いながら、1年に3万人以上の人が自殺している国なんですから。
自殺も他殺も紙一重。
大人たちは命を大事にしていない。
思いやりの気持ちを育てたいという大人は、世の中にたくさんの孤独な高齢者を生み出している。
公共のルールを守れていたら、駅前の違法駐輪から政官財の不正まで、山のようなルール違反は起きない。
アカンことでも、バレなんだらOKという風潮だって蔓延している。
不正を告発したばっかりに、すべてを失ってしまう人の現実を見せつけておいて、正直さや勇気を真正面から言えない。
だからタテマエでしか子供と向き合えなくなってしまっているのでしょう。

子供は、大人の世界を写す鏡なのだと思います。
大人が曇っていれば、子供も曇る。
だから、子供がキラキラ輝くためには、大人がまず曇っている自分を何とかしなければならないのだと思います。

小学校の時に「体育の先生になりたい」と元気に夢を語っていた少年が、中学校に入った途端、将来のことを何も語らなくなりました。
「俺の成績じゃ無理なんだってさ」と言いました。
「簡単にあきらめちゃダメ」という励ましは、大人のタテマエにしか聞こえない。
だって、ホンネを言えば、現実はおそらく彼の言うとおりなのだから。

子供は、本来、生きる力にあふれているはずです。
なぜなら、たっぷりの未来があるし、やり直しできる時間だってある。
未来があるから、今を大事にできるのだと思うのです。 子供に生きる力がないというなら、未来を感じられないからでしょう。
わずか12歳の少年に「もう俺の人生、知れたようなもんだよ」なんて呟かせてはいけない。
だから、再生の一歩は、子供たちに「ごめんね」と謝ることのような気がします。
大人たちがまず自分たちの姿を反省することから始めなければ、信じてもらえそうにありません。
信頼できる大人の言葉や笑顔は、きっと子供の心に沁みていくはずだと思います。

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