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こころの再生百人衆

アカデミック分野の方々

白石 太一郎さん

府立近つ飛鳥博物館館長


大阪府立近つ飛鳥博物館館長
奈良大学文学部教授
国立歴史民族博物館名誉教授
総合研究大学院名誉教授
1938年大阪市に生まれる。
同志社大学大学院博士課程終了後、奈良県立橿原考古学研究所員、国立歴史民族博物館教授、同副館長、総合研究大学院教授(併任)などを経て、現在、奈良大学文学部教授、国立歴史民族博物館名誉教授、総合研究大学院名誉教授。大阪府立近つ飛鳥博物館館長を兼ねる。
専門は日本考古学で、考古学による日本の古代国家・古代文化形成過程の解明を目指す。
主な著書に『古墳と古墳群の研究』(塙書房、2000年)、『古墳とヤマト政権』(文春新書、1999年)、『古墳が語る古代史』(岩波現代文庫、2000年)、『考古学と古代史の間』(筑摩書房、2004年)、『近畿の古墳と古代史』(学生社、2007年)

白石 太一郎さんからのメッセージ

「大阪の歴史を知り、誇りを持ってほしい」

私は、大阪生まれなんですが、長い間関東(国立歴史民俗博物館 千葉県佐倉市)で仕事をしていて、20数年ぶりに大阪に帰ってきて、びっくりするようなことがいくつかあるんですよ。

ひとつは信号を守らないですよね。自分の責任で、安全確認しているから良いという考え方もあるかも知れないけど、やっぱりルールですからね。大人が無視しているのを見て、子供だけがじっと止まっているなんて、考えられないですよね。子供にどう教えるのかっていうのが非常に気になります。子供の教育上からも考えなければならない問題だと思いますね。

それから、これは関東にいたとき、友人ともしょっちゅう喧嘩したんですが、関西へ行くと、大阪では泊まりたくない、泊まるのは京都か神戸でと言うのです。

ところが、久しぶりに大阪に帰って来て、信号無視や不法駐車の多さとか、街にゴミがいっぱい落ちているなどの状況を見ると、私は大阪生まれだから、大阪がそんなにおかしくなってるなんて思わなかったけれども、他の地域の人が大阪を良く言わないのは理由がないわけじゃないと思いました。

かつての大阪は、こんなことなかったと思うんですが、ちょっと情けないですよね。これらルールやマナーの問題は、大人の問題なんですよ。まず、大人がもう少し「こころの再生」を図らなきゃいけないと思いますね。

今、大阪の人は、自信を失っているって気がしますね。もっと誇りを持ってほしいと思います。誇りを失っているところが、最近の情けない状況の大きな原因じゃないかと思いますね。住民が郷土愛や、生まれ故郷に誇りを持つというのは、とても大切で、必要なことだと思うんです。大阪には単に経済力だけでなく、他にも色々と誇るべきものがたくさんありますよね。だから子どもたちも、大阪には誇るべきものがいっぱいあることを知ってもらって、大阪に自信を持つ、郷土に誇りを持つことが大切なんじゃないかと思います。

それから、子どもたちも大阪に誇りを持ち、頑張れば何だってできるんだというような、自分の将来の可能性を信じられるような大阪にすることは絶対に必要だと思います。

私は、今、府立近つ飛鳥博物館のお手伝いをしていますが、大阪、特に河内は大和とともに日本の古代国家の中心だったんです。よく大和政権と言いますけど、3~4世紀は大和が中心ですが、大和と河内は一体で、5世紀くらいはむしろ河内の勢力が大和政権の中枢を握っていたと考えられる。日本の古代国家を作り上げたのは、大和・河内政権なんですよ。大阪が日本の古代国家や古代文化の形成に重要な役割を果たしてきたことを理解いただくことは、大阪の人に自信を取り戻してもらうのに少しでも役立つのではないか。そういうこともあって、お引き受けしたわけです。

また、近代の大阪、少なくとも明治の終わりから大正にかけての大阪は東洋のマンチェスターと言われていて、人口は東京より多く、経済力もはるかに上回っていました。まさにアジアの中心の一つだったわけです。日本一の大都市としての誇りを持ち、リーダーシップを発揮していたわけです。

私は考古学を勉強していますが、日本の考古学のリーダーたちは、大阪出身がとても多いんですよ。日本の近代考古学の基礎を築いた濱田耕作先生は岸和田市、京大の梅原末治先生は羽曳野市、私の恩師でもある末永雅雄先生は大阪狭山市、その他坪井清足先生、森浩一先生、佐原真先生など、府出身者を数え上げたらきりがありません。商売が中心の大阪から、およそお金儲けとは関係のない考古学の分野で、偉大な学者がたくさん生まれているということは、大きな意味を持っていると思うんです。大阪は商売の町だけど、学問の町でもあったんですね。学問的、文化的なものが経済を支えていたんです。また、大阪にはそういう文化財がごく身近にあるということも関係しているのだと思いますね。

大阪は、先人たちがたいへんな努力をして素晴らしい東洋一の商工業都市を作り上げてきたわけです。またそれに相応しい文化力、学問力を持っていた。そういう歴史を学んで大阪に誇りを持ってほしいですね。それが結局自分自身の可能性を信じ、郷土の可能性、大阪の将来の可能性を信じていくことにも繋がっていくんじゃないかと思います。

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