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こころの再生百人衆

経済分野の方々

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南部 靖之さん

株式会社パソナグループ 代表取締役グループ代表


1952年1月5日生
兵庫県神戸市出身
1976年3月 関西大学工学部 卒業
1976年2月、「家庭の主婦の再就職を応援したい」という思いから、大学卒業の1ヶ月前に起業。以来“雇用創造”をミッションとし、新たな就労や雇用のあり方を社会に提案、そのための雇用インフラを構築し続けている。

南部 靖之さんからのメッセージ

子どもたちの様々な可能性を伸ばし、一人ひとり、豊かな人生設計が描ける社会に!

今、日本の社会は、物質的にとても豊かになりましたが、反面、昔と比べて親と子の絆が細く弱々しくなっているように感じます。親は子どもとどれだけ真剣に向き合っているのでしょうか。
また、学校では、相変わらず、子どもたちを試験の点数だけで評価しているように思います。昨今、話題となっている、国のいわゆる全国学力テストについても、子どもたちの一面を点数化したものにすぎません。
最近になって、これまで学校教育で進められてきたゆとり教育が見直される動きがありますが、私は、本当の意味でのゆとり教育は、もっと進めるべきだと思っています。子どもたちには、学校の教科書以外に、倫理や道徳、正義感、また本来人間が持っていなければならない助け合いの精神などをしっかりと教えることが大切だと思います。

私の両親は、折に触れて、人間の評価は学校の成績だけではないということを、私たち兄弟に教えてくれました。
例えば、私の兄は数学が得意でしたが、私は不得手。でも絵はとても好きだった。母は、私の絵をいつも褒めてくれましたし、時には、私が描いた絵を買いとって、絵の具を買う小遣いを渡してくれたこともあります。
また、父は、私が数学の点数が悪かったことを恥ずかしがったとき、「何を恥じているのか。人に迷惑をかけたときに、恥よ!」と、私を叱りました。試験の点数が悪いのは、自分が勉強しないからであって、何も恥じることはないというのです。
しかし、ある夕餉時に、学校で友達がいじめられていた話をしたときは、父から「そのとき、お前は何をしていたのだ?」と聞かれました。「僕は逃げた。」と言うと、世の中で一番尊敬する父から、「卑怯者!」と一喝されました。「今、ご飯を食べながら、友達のことをかわいそうだと言うなら、なぜそのときに助けなかったのか。」「知恵と勇気があれば、助けてあげられる。」と言うのです。人間としての真の価値は、勉強だけでなく、他人を思いやる心や勇気であることを教えようとしたのです。
私の両親は、子どもが、勉強で100点を取るのも、100メートル走で1番になるのも、絵がうまいのも、ピアノがうまいのも、それぞれの分野に優劣はなく、何かに頑張った子どもは、褒めて伸ばしてあげるべきだと考えていました。ただし、自分で選んだことは、何事も一番を目指して頑張る必要があると思っていました。要するに、学校の成績という一つの価値観、ものさしだけで評価をしてはいけないという信念を持って、子どもを育て、そのことをしっかりと子どもにも伝えたのです。

しかし、日本の社会は、未だに、将来は、良い学校に入って、一流の会社に入って、そのためには、受験勉強をがんばるという、非常に画一的な評価や方法論が、社会全体に蔓延しているような気がします。何のために勉強するのかという目的が、間違ってはいないでしょうか。
私は、アメリカに16年間ほど住み、そこで3人の子どもを育てましたが、アメリカでは、自分の才能や能力を先生に引っ張り上げてもらうために勉強するという子どもが多いです。知識は、自分を豊かにし、社会人になったときに、周りや社会を豊かにするためのものと考えています。
例えば、世界中から優秀な学生が集まってくるハーバード大学などでは、入学するに際して、学校での学業成績と同じくらい、あるいはそれ以上に、スポーツや音楽での活動実績や、ボランティアやアルバイトなど、どのような社会活動をしてきたかなど、ハイスクール時代に、社会で何を幅広く学んできたかが考慮されます。日本のように、たった一度のペーパーテストだけで合否を判定されるのではないのです。だから、アメリカの子どもたちは、受験のための勉強はしない代わりに、日々の学校の勉強に一所懸命取組みますし、スポーツや趣味、ボランティアにも、懸命に打ち込みます。
アメリカの学校では、何のために生まれてきて、何のために学校に行って、何のために社会人になるのかという、目的意識をしっかり子どものときに教えるのですね。

私は大学4年の就職活動中に、男子学生よりも女子学生の方が就職が困難であること、また女性が結婚し、一旦会社を辞めたら、子育てが終わっての再就職が、非常に難しいことを知り、そのことを両親に話しました。
息子の就職について、普通ならば一流企業に就職しなさいと諭す場合が多いのでしょうが、私の両親は、「お前が、女性の就労には厳しい現実があると考えているのならば、その社会の問題点を解決するためにがんばりなさい。」と私の背中を押してくれました。両親は、若い私が自分で自分の道を切り開くきっかけと勇気を与えてくれ、結果として、私以外の同級生が全員就職した中、私は、女性が就職しやすい仕組みを創ろうと決心し、起業したのです。

創業以来、私は、「人を活かす」ことを、パソナグループの事業の原点にしています。つくづく「人は国家」だと思います。企業にとっても、社会にとっても、国家にとっても、「人」が財産です。だから、国家である「人」をないがしろにしてはいけません。国民はただの労働力ではないのです。GDPをあげることだけが国力の向上ではありません。一人ひとりがもっとやさしい気持ちを持ち、助け合いの精神を育てることが、求められているのではないでしょうか。
また、古くから商いには、売り手よし、買い手よし、世間よしという、「三方よし」の言葉がありますが、これは、教育にも通じる理念だと思います。今、よく耳にする「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は、ライフは自分のため、ワークも自分のためと、ちょっと自分本位のように私には聞こえます。本来は、「ソーシャル・ワーク・ライフバランス」と言うべきではないでしょうか。自分の仕事と、社会人としてのライフのバランスがとれて、はじめて個人と社会が成立すると思うのです。
人は誰しも、社会に出るまでに、親や教師といった自分の周りの人たちに才能、能力を引き出してもらい、それを生かして社会の様々な分野に活躍の場を見つけるのが本来の姿です。だから、社会貢献活動をしても良いし、音楽家やスポーツ選手として活躍するもよし、企業に入って働くだけが唯一の選択肢ではありません。

働くことは、「生き方」そのものであり、「生きざま」でもあります。自分が働くことで、人に喜ばれ、いかに周りを豊かにするか。
働くことを通じて、夢・志を実現し、結果としていかに社会に貢献するか。私の生き方であり、使命だと思っています。これからも新たな雇用の未来を創造していきます。
「こころの再生」府民運動では、日本の将来を担う子どもたちに、「感謝する」、「生命を大切にする」、「努力する」、「互いを思いやる」といった、本当に大切なことをしっかりと伝えていってください。

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