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こころの再生百人衆

芸能・文化分野の方々

桂 小春團治さん

落語家


昭和33年生まれ、落語家
平成11年に三代目桂小春團治を襲名する。
平成12年に世界最大の芸術祭エジンバラ・フェスティバル(英国)に落語家として初めて参加し、独自の字幕方式での海外公演を始める。
以後各国大使館の主催公演や国際演劇祭の招待公演などで、英・仏・米・独・露・ブルガリア・フィンランド・ベルギー・ノルウェー・トルコ・韓国・カナダなど、のべ10数カ国で公演する。
平成18年には、文化庁文化交流使に任命されるとともに、Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100」に選ばれる。また、落語家で初となる落語のNPO法人「国際落語振興会」を設立する。
平成19年には、落語家初となるニューヨーク、ブロードウェー公演を行うとともに文化庁芸術祭優秀賞を受賞。
平成22年落語家で初めてニューヨーク国連本部とカーネギーホールで公演。

桂 小春團治さんからのメッセージ

「落語で、子どもの豊かな想像力をはぐくみたい」

小学生対象の落語鑑賞会を始めて、今年で3年になります。
この鑑賞会では、落語鑑賞と同時に、必ずバックステージツアーも行っています。ホール全体をテーマパークのようにして、スポットライトを浴びる舞台の裏で、照明や音響など、大勢の人が働いているのを見てもらうのです。15人くらいのグループに分かれて、噺家たちがツアーガイドのように案内します。

その時に必ず子どもたちにお願いしているのが、裏方のスタッフに『あいさつを大切にしよう!』ということです。裏方は、バックステージツアーのために、わざわざ照明切りかえなどを協力してくれていますが、デリケートな機材などが置いてありますので、本来は立ち入ることのできない場所に、特別に入るのですから、気持ちよく案内してもらえるように、あいさつをしようと呼びかけています。
鑑賞会は、今は、ワッハ上方(大阪府立上方演芸資料館)で開催していますが、以前は天満天神繁昌亭で開催していました。楽屋見学のとき、繁昌亭の楽屋は畳の部屋ですので、靴を脱いで上がらないといけません。小学生が楽屋に入ってくるときに、「ちゃんと靴揃えてね。」と一言言うと、子どもはきちんと揃えます。私は正座して待っているのですが、今度は「正座してください。」と言わなくても、全員正座するのです。一から十まで言わなくても、靴を揃えるように言うだけで、子どもたちは正座ができます。
今の子どもは、礼儀作法が良くないなどと言われることがありますが、それは、これまで身近なところで、しつけについて言ってくれる人が少なかったからではないでしょうか。

現在、小学生対象の落語鑑賞会は年間22回開催し、原則学校単位の参加としていますが、そのうち1回だけは一般公募し、家族単位で参加していただけます。
親子で参加された場合、時々、子どもたちが正座しない場合があります。それは、保護者があぐらをかいている時です。結局、家庭単位の教育、しつけによって、子どもが変わるように思います。
以前、行儀の悪い子どもが最前列に座っていたことがあり、解説の途中でしたが、舞台の上から「行儀悪いなあ、ちゃんと座ろうか」と注意したことがあります。そうすると、すぐに姿勢を正しました。大人がきちんと導いてあげれば、子どもはちゃんとできるのだと思います。

また私は、落語の海外公演も行っており、この10年ほどの間に15~16か国を訪れました。先日(平成22年2月)も、落語家として初めてニューヨーク国連本部とカーネギーホールで公演してきました。海外の、特に都会ではなく、地方を訪れると、子どもから年配の人まで幅広い年齢層の人たちが観に来てくれます。
古典落語の内容は、大人はわかっても子どもにはわかりにくいと思いますが、例えば、うどんを食べる仕草や手ぬぐいを使った仕草など、言語と関係ない部分で、子どもも大笑いしています。子どもは子どもなりに、面白いところで笑って反応してくれるのです。

また、単に落語の話の解説だけでなく、日本の楽器などについても解説しますので、落語を中心にその周辺まで学んでいただけます。海外では、和楽器に触れる機会が少ないから、特に効果音の出し方の解説などは、とても喜ばれます。こうした海外で落語を演じたノウハウを、日本において、子どもたちへの解説に応用しています。

私は、子どもが落語に出会うタイミングが非常に大切だと考えています。小学生くらいの幼い時期から落語に触れると、面白いものは面白いと素直に受け止め、内容は忘れても、「面白かった!」という記憶だけが残ります。
落語は、一人で何人もの人物を演じわけ、わずかな小道具で全ての物を表現する芸能です。その鑑賞を通して、楽しみながら想像力を養うことができます。今の子どもは、想像力が乏しいのではなく、落語のように想像力をかきたてるものが身近に少ないのだと思います。想像力が育てば、友達同士で自分がされたら嫌なことや、他人の痛みも想像できるようになると思います。

私は、子どもたちに想像力を養って、明るく元気な人に育ってほしいから、これからも落語を続けていきたいと考えています。

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